バタフライはもともと平泳ぎだった

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 水泳のバタフライはもともと、平泳ぎの一種だった。

 平泳ぎの動きの規定は、1928年のアムステルダム五輪当時、「手と足が左右対称の動きをする」というものだけだった。この動きさえ守れば平泳ぎと認められたのだ。

 そこで、規定を守りつつ速く泳げる方法はないかと、ドイツのエーリッヒ・ラーデマッハー選手が考案した泳ぎ方が、現在のバタフライに似た手の掻きと平泳ぎの足の掻きを組み合わせたものだった。同選手は日本の鶴田義行に次ぐ銀メダルを獲得した。

 その速さからこれを真似る選手が続出。1936年のベルリンオリンピックで数名の選手がこの泳法により好成績を収め、1952年のヘルシンキ五輪では、ほとんどの選手がバタフライ泳法を行うほどまで広まった。

 だが、もはや平泳ぎの範疇には入らないと国際水泳連盟は判断。1956年のメルボルン五輪から新種目としてバタフライを独立させることが決まった。