童謡『たき火』が初めて放送されたのは1941年12月9日、NHKラジオ第1の子供向け番組『幼児の時間』でのことだった。当初は9日から3日間放送される予定だったが、2日目の10日の放送を最後に放送禁止となった。
原因は、初回放送の前日、1941年12月8日に勃発した太平洋戦争だ。放送後に軍当局から「たき火は敵機の攻撃の標的になる恐れがある」「資源の無駄遣いだ」とNHKにクレームがついた。放送最終日に予定されていた11日の放送は戦時番組に切り替えられた。
戦争が終わり、同曲は1949年に放送再開。NHKラジオ第1の子供向け番組『うたのおばさん』で放送され、全国の幼稚園や保育園に広まった。
『たき火』は、巽聖歌作詞、渡辺茂作曲の童謡。東京・中野区の巽の自宅近くにある、大きなケヤキが6本ある「ケヤキ屋敷」と呼ばれる家の住人がたき火をしていた風景をもとに作詞された。