5つ先の駅まで走って、乗ってきた電車に追いつける区間がある

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 直前まで乗っていた電車を一度降り、その先の駅まで走って追いついて、再び同じ列車番号の電車に乗る。一見すると不可能なように思えるが、これが可能となる区間が存在する。

 JR飯田線の下山村駅―伊那上郷駅間がそれだ。線路の長さは約6.4kmあるが、Ω型にカーブしており、直線距離で2kmほどしかない。同駅間では4つの駅に停車するため所要時間は最短で14分(2017年4月現在)と、脚力に自信のある人であれば余裕で追いつける時間だ。

 地元住民や鉄道ファンの間では「下山ダッシュ」の名で呼ばれ、挑戦者も多い。特に、最寄り駅が伊那上郷駅の飯田高校では、下山村駅8時発の電車に乗り遅れると次の電車が来るのが1時間半後とあって、同じ電車に乗るまではしないものの、下山村駅から生徒がダッシュする光景を見られる日もあるという。

 だが、車も横を走る上、直線で繋がる道路はなく、途中で国道151号を横断する必要もある。さらに、伊那上郷駅に向かう場合は急な上り坂が続くなど、注意が必要だ。

 確実に成功させたいのであれば、途中の飯田駅で長時間停車する電車を狙うのが良いだろう。下山村駅を18時47分に出る電車は、伊那上郷駅に32分後に到着し、徒歩でも追いつけるほどだ。西村京太郎ばりのトリックとして使えるかもしれない。