居酒屋などで注文したビールの泡が多いと何だか損した気分になる。昭和初期にも同じように思った人がいたようで、ビールの泡はビールに含まれるのか裁判で争われたことがある。
1940年、東京・上野のビアホールにいたある客が「泡の量が多すぎる」と抗議。警視庁経済警察部が駆けつける騒ぎとなった。
警視庁が調べたところ、生ビールの仕入れ量に対し売り上げた量が異常に多いことが判明。検察は、ビールの泡をビールとして販売し不当に利益を得ているとして、ビアホールを運営していた会社を起訴した。
裁判で、酒学の権威とされる坂口謹一郎教授が証人として出廷し、ビールの泡はビールよりもアルコール濃度が高いと証明。この証言が決め手となり、1944年、ビールの泡もビールに含まれると、無罪判決が下された。