ドーナツの穴は火をまんべんなく通すために開いている

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 ドーナツは真ん中に穴が空いており、この穴のせいで一口分損をしているようにも思える。だが、この穴は「大発明」で、穴のおかげでまんべんなく火を通すことができるようになった。

 ドーナツに穴を開けることを発明したのは、アメリカ・メイン州に住む船長、ハンソン・グレゴリー(当時16)。アメリカでは大発明とされ、同州ロックポートには彼を「ドーナツの革新者」と讃えた記念碑が残されている。

 もともと生地の中にクルミを乗せて揚げた菓子だったドーナツ。名前は、「生地」を意味する「dough」と、「木の実」を意味する「nut」に由来する。

 発明された1847年以前のドーナツは、中まで火が通りにくく半生になりやすかった。これを防ぐために、グレゴリーは生地の真ん中に穴を開けて作ることを思いついた。

 目論見は見事成功。さらに、揚げる時間も半分ほどと短くなるため、油っこくなく軽い食感に仕上げられるという思わぬ効果もあった。穴開きドーナツは各地に広まり流行。グレゴリーには「先見の明」があったようだ。