村全体が県境を越えて飛び地になっている村がある

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 和歌山県には、市町村単位ですべてが飛び地になっている村がある。

 その村の名は、北山村。周囲は奈良県と三重県に囲まれ、和歌山県と隣接していない。市町村の一部地域が飛び地になっているものは全国各地で見受けられるが、市町村単位の飛び地は全国でもここだけだ。

 村が県境を越えて飛び地になったのは、廃藩置県が行われた1871年。古来より林業を主産業としていた現・北山村一帯は、木材の集積地だった紀伊新宮藩と強い結びつきがあった。地理的に本来は奈良県に属するが、紀伊新宮藩が廃藩置県で和歌山県に属すことが決まると、村民は和歌山県に加わることを熱望。願いは叶い、飛び地ながら和歌山県への編入が決まった。

 1889年には、町村制の施行により、大沼、下尾井、小松、竹原、七色の5村が合併し、北山村が発足。自治体としての「飛び地の村」が誕生した。

 北山村は、筏流しが名物として知られ、じゃばら生産量世界一を誇る。余談だが、和歌山県内で唯一の村でもある。