1925年、マヨネーズを日本で初めて発売したキユーピー。発売当初、マヨネーズは日本の国民にとって見慣れないものだったため、整髪料のびん付け油と勘違いされ髪に塗ってしまう人もいたという。同社は利用方法などについてまとめた説明書を添付し対応した。
同社の創始者、中島董一郎は1912年、農商務省の海外実習練習生としてイギリス、さらにはアメリカへと渡り、マヨネーズと出会う。中島はマヨネーズをかけたシャケ缶とタマネギのみじん切りの味に深く感動し、日本でも発売しようと考えた。だが、その存在を知る者などおらず、まだ時期尚早だと諦めていた。
発売に踏み出したきっかけは、関東大震災後に起きた、生活の洋風化だった。女性が洋服を着るようになった時代。食生活も洋風化が進むと予測した中島は、これならマヨネーズも売れると確信した。
だが、当時はまだ卵が貴重だった時代で、マヨネーズは高級品だった。そのため百貨店で販売されていたが、見慣れない商品に、消費者には調味料という認識すらされなかった。そのため、整髪料のびん付け油と勘違いされ髪に塗ってしまう人もいたという。
中島は、商品に利用方法などについてまとめた説明書を添付するだけでなく、店頭でたびたび試食会を開催し、普及に務めた。また、当時は生野菜を食べる習慣がなく、肉料理や魚料理にかけて食べるものとして売り出していた。試食会では高級カニ缶を持参し紹介していた。