日本で一番高い山は富士山――。かつてこれが当てはまらない時代もあった。
富士山よりも高い山は、1895年から1945年まで「存在」した。この年を見てピンと来た人もいるかもしれない。正確に言えば、この間は日本が台湾を統治していた時代で、台湾の最高峰が富士山よりも高かったというわけだ。台湾の最高峰、玉山の標高は3952mで、富士山(3776m)より176m高い。
玉山は日本統治時代、新しい日本最高峰であることから「新高山」と呼ばれた。真珠湾攻撃の開戦日時を告げる海軍の暗号電文「ニイタカヤマノボレ一二〇八」のそれである。